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街なか歴史訪問 春日神社


【こうなんだいe-town】



お盆を目前にした真夏の正午過ぎ。鎌倉街道から小脇に入ると、深緑の小山を一直線に天へ突き抜けんばかりの石段がそびえる。街中のビル群とは一味介す勇壮さ。その頂が天の御殿、目的の春日神社の社だ。
【レポート:木村圭吾】
取材:2006年8月


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春日神社は康和元年、藤原成実御護寺の霊像を安置したことを起源とし、900年を超える歴史をたたえた歴史ある神社である。奈良の東大寺二月堂より初代の司を招いたというから誠に由緒もある。「春日」とは春日大社より由来しているそうだ。現在の社殿も嘉永七年、時の地頭であった久世大和守源廣忠公の援助によって作られたというから100年を超える木造建築ということになる。かの関東大震災に被災した大正十二年九月一日も恒例の例大祭を執り行なったそうであるし、太平洋戦争の戦火からも免れたのだから、藤原成実という方はよほど力のあるお方であるのだろう。周囲の森には横浜市指定の天然記念物に指定されている夫婦木と呼ばれる根っこ同士がつながった神秘的な樹木もあり、この小山はやはりただならぬ力によって守られているようである。

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取材中、一眼レフを首から下げた一人の男性がやってきて、こんな話をしてくれた。なんでもこの社殿に彫刻を施したとされる後藤利平なる人物は、その昔、江戸近辺で活躍した彫刻家で、千葉県を中心として多くの作品が残されているのだそうだ。ところが、神奈川では後藤の作品は珍しく滅多に見ることはできないということである。宮司さんのご好意で実際に社殿に上らせてもらい各彫刻を眺めなおしてみると、言われるとおりでどれも素晴らしい。花びら一枚一枚に精魂込められた美しい花、屋根の下に配される獅子とバク。そして、やはり圧巻なのは正面にある竜である。髭、鱗の細部に至る技術はもちろんのこと、裏にまできちんと彫られていてほんとうに竜が社に巻きついているかの如く作品には、素人目にも凄さが伝わってくる。歴史書には後藤がわずかの間だけ、鎌倉を訪れた記録があるためその時にこちらまで通って彫り残したのではないかという話だった。さらに、社殿の天井は狩野派の画家によって描かれたという。褐色気味の木に色とりどりの色彩で鮮やかに草木、動物、昆虫達が描かれている。長い月日を経ても見るに鮮やかであり、彫刻と天井画だけでも一目の価値は存分だ。

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やがて、宮司さんは夏休みの宿題で訪れたのであろうか地元の中学生らしき子供たちに天井画を眺めながら神社の歴史を話し始めた。幼い頃からのお付き合いのさんも女将さんとなにやら世間話に花をさかせている。古くから港南台を見守ってきた春日神社は彫刻のような文化的価値もさることながら、この地に住む人々にとっても大切な存在であるのだとしみじみ感じる光景だった。8月31日の例大祭宵宮でも多くの地元の方々で賑わったことだろう。


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