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中国茶の達人 杉崎幸江さん


【街の達人】



港南台駅から徒歩7分ほどのご自宅で中国茶教室と書道教室を開かれている杉崎幸江さんのお稽古場を訪問しました。

杉崎さんは幼いころから書に親しみ、櫻雪という雅号で年に数回展覧会に出品することがライフワークになっている書家でもあります。今回は中国茶の魅力と中国茶教室を開こうと考えられたきっかけについてお話を伺いました。




中国茶の達人 杉崎幸江さん


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「中国茶教室で教えれば教えるほどにたくさんのことを教わるの。味覚が育っていく生徒さんのそばにいるのが何より楽しいの」たおやかに笑う杉崎さんはご結婚後、シンガポールと上海で11年間暮らし、日本と異なる文化の中で3人のお子さんの子育てをされた経験をお持ちです。
もともと紅茶好きだった杉崎さんは、上海で中国茶教室に通い出しました。はじめは余暇を楽しむためでしたが、次第に茶藝の奥の深さに魅せられ、作法を知るだけでは飽き足らず、美味しく淹れるということを日々考えるようになっていったそうです。

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転機が訪れたのは4年前。上海で飲んだことのないような一杯の美味しいお茶に出逢います。それは『茶畑みらいプロジェクト』が支援する契約農家の作った茶葉で淹れたお茶でした。化学肥料や農薬に頼らず、丁寧に手間暇を惜しまずに茶葉を育てるプロジェクトの理念と、その美味しさに感銘をうけ、茶葉は食べ物であり農産物であることに改めて気付いたそう。すべての料理と同じく手間暇かけてつくられた素材はやはり美味しく、素材の良さをいかに引き出すかは、手にする人の心と技術にかかっている。茶葉の向こう側の茶畑にいる人を感じるようになった杉崎さんは中国国家資格の高級茶藝師の資格をとられました。

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今日の天気は?湿度は?飲む方の好みは?
お茶の作法としての淹れ方から、次第に一杯のお茶を飲む相手のことを考えるようになり、気づけばお茶と対話しながら淹れるようになっていったそう。
そのうちに上海のお茶好きの中で「美味しいお茶を淹れる日本人がいる」とご自宅のお茶会に口伝で人が集まるように。年齢も経験も違う初対面の人が、お茶の場を介して和やかに話を弾ませていく様子に、「お茶は人をつなぐ道具になる、お茶を介して縁も繋がることができる」ということを強く感じたそうです。
日本人だからといってすべての人が茶道を極めているわけではないように、中国茶の茶藝も中国文化であっても、誰でもが身についているものではありません。
海外だからこそなおさらに、母国を含め様々な文化の良いところを自然に感じることができるようになったといいます。

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その後も杉崎さんの探究心はとどまることなく、自身の支援している中国の農家の茶畑を訪れます。実直にお茶の葉を作る農家の方の真摯な人柄にふれ、中国の茶農家のおかれている厳しい現状を知るうちに、中国茶の本当の美味しさを知ってもらうことが、茶藝や茶畑、そして茶畑で出逢った方々を守ることに繋がると考えるようになっていったそうです。杉崎さんのなかで一飲み物としての中国茶が、次第に守りたいもの、伝えたいものへとシフトしていきました。
帰国後、自分にできることを考えたとき、真っ先に浮かんだのは握手をしてくれた実直なあの農家の方のゴツゴツとした手。そして、ご自宅での中国茶教室をスタートさせます。

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中国茶の魅力
日本茶ならどれでも同じではないように、中国茶にも数えきれないくらい色々な産地があり、種類があると杉崎さん。日本茶・中国茶・紅茶、実はどれも同じツバキ科カメリアシネンシスの葉ですが、製法の違い、発酵の度合いが風味の違いになっているそう。日本の煎茶は発酵を抑えるため茶摘み後すぐに蒸して作られることが多いのですが、中国茶は炒って作られることが多く、香りを立たせるのが特徴です。『味』を楽しむことを重視している日本茶に対し、中国茶は『香り』も楽しむことに重点が置かれているのが大きな違い。質の高い鉄観音茶なら、7、8煎まで飲むことができ、淹れるたびに香りと味わいの変化を楽しめるといいます。
中国茶教室で使われるチャート表を広げながら杉崎さんの解説に熱が入り、聴く側は思わず引き込まれます。

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『書は人なり』ならば『茶藝もまた人なり』
もともと書の勉強を通して中国に興味があったことが今の中国茶藝に繋がっていると杉崎さんは話します。一見、書道と茶藝はまるで違う道のようにみえますが、古典の基礎を勉強し身に付けたからこそ、創作をすることができるのは書道も茶藝も同じ。代々受け継がれてきた先人の文化や心を理解し、作法を知る。そこから初めて自分らしく相手と向き合い、心を表現する方法を考えることができるのでしょう。
稽古を重ねお茶を楽しむ時間をもつことで、今の季節・今日の気温・木々のざわめきや鳥の鳴き声、自分のこと、自分ではない誰かのこと…。色々なことを心で感じられるようになってくるのが中国茶の魅力です。
「なにより私は中国茶が好き。自分の中にある感覚に向き合う時間を過ごすことを、一緒に楽しみましょう!」まっすぐな瞳でそう話す杉崎さんの淹れる、あなたのための一杯のお茶。飲んでみたくなりませんか?

■中国茶の達人 杉崎幸江さん
ChineseLife Tea School
sugizaki@clts.info


■編集後記
香りは遠い記憶を呼び覚ますとの言葉通り、みんなそれぞれ感想が違います。「大草原のにおい」「小さなころに寝転んだ草の香り」
みんなの感想をきくのも、また楽しいとのこと。
正解はなく、また不正解もない。ただ純粋に相手の感想を知る。内在する自分の感性を知るとともに、自分ではない誰かの感性に気づく。そんな五感を使った時間をもつことが、心にゆとりをもつということにつながるのでしょう。

レポート:鳥海知恵子
取材:2015年1月


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